Kiihantou_20110911

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　川上村から先は特に問題はなかった。しかし不動窟の裏山が崩れていたり，国道169号線の対岸の斜面が小規模に崩れたりしていた。 上北山の道の駅でバイクの人と話をしたが，その人も北山村から瀞峡に抜けたいと言っていた。その人とは北山村までほぼ同じペースで走っていた。 上北山の道の駅はガラガラだった。観光に来る人はさすがに少なさそうだった。 上北山の道の駅を出ると池原ダムのダム湖沿いに下北山村に向かう。その区間も多くは問題なかったが，一部で斜面が崩れ，片側交互通行が2箇所ほどあった。 しかし距離も短く，大きな問題はなかった。下北山村から国道425号線が十津川村に抜けているが，以前から崩落で通行止めだった。 今回，国道168号線が不通のため，急遽国道425号線を復旧（仮復旧？）させて，災害支援用の緊急輸送道路としていた。

　下北山村からは国道169号線，国道309号線経由で熊野市に行く手もあったが， 今回は奈良県道229号線と不動トンネルで北山村を目指した。 不動トンネルを抜けると北山村だが，9/11の時点では川は穏やかだった。 しかし水は茶色く濁り，異様な感じだった。 川の両岸の木々は押し倒され，立ち枯れっぽい感じになっているものが多数あった。 北山村の小森ダム付近にある小松橋が壊された，という情報があったので見に行きたかったが， 先が長いので今回は諦めて先を進んだ。 北山村からは三重県道40号線で紀和町を目指した。 道路規制情報では通行止めとなっていて，途中通行止めの柵もあったが，実際にどうなっているかを見たくて県道40号線を進んでみた。 するとバイクならまだ通れる感じだったので，そのまま丸山千枚田まで行った。 車だとかなり危険かもしれない，という感じだった。 そのため小森地区から西山に抜けろ，と指示が書いてあった。 そちらの道なら車でも行けるみたい。道幅はとても狭いと思うが…。

　丸山の千枚田は普通に見えた。 青い空と緑がきれいで，数日前にすごく雨が降ったのが嘘のようで，不思議な感じだった。 丸山千枚田でコンビニで買ってきたおにぎり食べてから，いよいよ問題の場所に向かった。 紀和町の鉱山博物館のところから布引の滝の方に行こうとしたら，土砂崩れで通行止めだった。 後で考えたらR311とR169で宮井大橋を目指してもよかったのだが， 熊野川町日足に一番近い三和大橋を渡るべく，瀞流荘横から林道で布引の滝の方に抜けようと思った。 瀞流荘と湯の口温泉は停電のため9/11時点では休業していた。 水害直後は営業してるという話もあったが，その日は休みだった。 そこから林道で山越えしたのだが，一箇所分岐で曲がりそこねたため， 布引の滝の方ではなくて，北山川沿いの紀和町小船付近に出てしまった。 そこからでも一応三和大橋に行けると言われたので，進んでみた。 その一帯は川沿いは全て水没した地域で，道は泥だらけだった。 それでもすでに泥がある程度横に寄せられていたので，なんとかバイクでも走ることができた。 しかし，一回ヌルヌルの所でコケかけて，とても怖かった。 また，道のそばの家や木々は水没した跡があり，かなり高い位置まで水没したようだった。 如何にすごい水量だったのかを想像すると恐ろしくなった。

　なんとか三和大橋までたどり着いたが，三和大橋は一応通行止めだった。 しかし地元の人々と思われる車が数台走っているのを見たので，ダメもとで橋に上がってみた。 橋の欄干にはまだ流木が残っていたが，橋の路面は比較的きれいだった。 きっと地元の人が路面をきれいにされたのではないだろうか？ 橋の上から見た熊野川は水量こそいつもぐらいだが，茶色く濁り不気味な感じがした。 私の知っているあの熊野川はどこに行ったのだろう？ 三和大橋の西側が熊野川町日足地区になる。 日足地区では多くの家屋が水没したため，地元の方々は家の中から水に浸かった家財道具（ほぼ全て？）を道に出しておられた。 多分全て廃棄しないといけないと思われた。 また，なんとなく湿っぽいものが腐りかけたような嫌な臭いがしていた。衛生面が少し心配な感じだった。 日足地区では国道168号線を走ったが，路面は泥がいっぱいで，乾きかけだったのでものすごい埃だった。 また作業をされている方々や，外に出された家財道具などで道幅が狭くなっていて，走るのは気を使った。 そのまま神丸交差点に向かい，県道44号線を使って畝畑への入口にあたる熊野川町小口を目指した。 小口までは下流ほど被害が大きかったみたいだった。 しかし小口付近では家屋にはあまり被害はない感じだった。

　小口から畝畑までは約 13 km ぐらいあり，途中に大きめの長瀞橋があり，その先にトンネルが5本ある。 今回，小口から畝畑に通じる和歌山県道229号線は通行止めという情報だったが， 小口までいけたので，せっかくだからと思って（無謀にも）リッターのツーリングバイクで畝畑を目指してみた。 いざとなれば歩けばいいとしておいた。 県道229号線はかなり激しい道と化していた。 道には，木の小枝や葉っぱ，角張った礫が多数あり，いつパンクするかわからない，という感じで走っていった。 場所によっては全く通常っぽい路面の所もあるが，ほぼ全線にわたって緊張を強いられる状況だった（特にパンク）。 途中何箇所も法面がプチ崩落していて，場所によっては崩落した礫の上を走らないと行けない場所も複数あった。 リッターのツーリングバイクには結構きつい道だった。 それでもなんとか無事に帰ってこれたのは，単に運が良かったから，としか言えない。 長瀞橋までで2箇所か3箇所，法面が少し崩れていた。 しかし，小型の自動車なら通れる幅は確保されていた。 また，路面には車が何度か通った新しい轍があり，畝畑まで行けるのではないか？と希望を抱かせてくれた （実際には路面崩落のため，9/11現在はバイク・車では畝畑には行けない）。

　長瀞橋を過ぎて，1号トンネルと2号トンネル（小口から見た番号）の出口はそれぞれ法面から礫が多数落ちてきていた。 オフロード車なら通れる感じに踏み固めてあったが，リッターバイクでは恐怖だらけだった。 その後も数箇所で石ころだらけの部分（長さ 1m 程度や，1m 未満）が数箇所あった。 それでもなんとか5号トンネルを超え，もうちょっと行ったら阿修羅橋（誰かがあしゅら男爵みたい〜，と書いていた橋。正式名称はなんだっけ？）だ， と思っていたら，そこに数台の車と10人ぐらいの人がいた…。私のバイクに気づくと「あー，この先は行かれへんでぇ！」との声。 実はその付近で長さ 10 m 程度（目測なので正確な距離は不明）にわたって法面が崩れ，路面ごとなくなっていた（写真撮ったはずやのに記録されてなかった…）。 せっかくそこまで頑張ったが，さすがにその先はバイクでは無理だった。残念。 そこにおられた方々は中部や九州から応援で来られた国土交通省の人達で，崩落現場を見てどうやって復旧させるかを検討されている，とのことだった。 日曜日なのに皆さんご苦労様です。逆に，国土交通省の方々に「あんた，こんなバイクでよう来たねぇ」と呆れられてしまった…。 うーん，邪魔しただけだったみたい…。ご迷惑をおかけして大変申し訳ありませんでした。

　しかし，r229が崩れている場所から野尻さん宅までは歩いて1時間程度の距離らしかった。 実は，新宮市の職員の方が数名，崩落現場から歩いて野尻さん方まで行かれたらしい。 野尻さんやご家族の安否を尋ねると， 「野尻さんもご家族も元気にしてはりますよ。行ったら逆にお茶出してくれはりましたわ。 停電みたいやけど，発電機使ってはりました。この先（崩落現場の先）はどうってことなくて， 物資はここまで車で持ってきて，反対側に野尻さんが車で来はって受け渡してます。 消防の方から衛星電話も借りれたみたいですし。 畝畑から先も県道が2箇所崩れてるらしくて，係長を車で案内するって言うてはりましたわ」とのこと。 係長さんはその後野尻さんの車で崩落現場そばまで送ってきてもらったらしい。 でも野尻さんはすぐに引き返してしまわれたので，お顔を拝見することはできなかった。 午後1時ぐらいだったので，畝畑まで歩いてもよかったのだが，道路復旧作業（現時点では下見だけだったけど）の邪魔しても悪いし， バイクで小口まで無事帰れるかどうか（パンクの危険が大きかった）もあったので， 野尻さんご家族の無事を確認したというこで今回は引き返すことにした。早い時間ならパンクしても修理可能だし…。

　その後，なんとか運良く小口までパンクせずに走れた。いやぁ，よかったよかった。 帰りは小口，日足，志古，宮井大橋，竹筒，瀞大橋，紀和町と走って，その後国道311号線で熊野市に出て，国道42号線で帰ってきた。 国道42号線は，矢ノ川峠区間で3箇所（だったと思う）交互通行だったが，いずれも距離はそんなに長くなかったので，すぐに通過できた。 その後は国道42号線，紀勢道ともに順調に走って帰ることができた。