横尾山を過ぎると須磨アルプスがある。
須磨アルプスは花崗岩がむき出しで風化した地形であり,急な下りや階段があり,ペースが落ちやすい。
そのため毎年渋滞が発生するポイントとなっている。
特に須磨アルプス手前の下りの鎖場,須磨アルプスの入口の急な下り,馬の背下へ下る階段,馬の背へとよじ登る上り,幅の狭い馬の背,と初心者が遅くなりそうなポイントのオンパレードとなっている。
前回は,須磨アルプス入口の鎖場のところでは,手前に係の人がいて,上級者の方は右手から下って下さい,と誘導があったが,今年は人がいなかった。
そのせいもあってか,鎖場の手前はがっちりと渋滞し,その先の渋滞は前回よりもましな感じだった。
まぁ,大勢が参加する大会だから仕方ないといえば仕方ないが…。
須磨アルプスの後は東山を下り,横尾団地を抜けて妙法寺へと向かうが,東山の下りも急な下りがあり,なかなかペースが上がらなかった。
横尾の住宅地では,横尾中学への交差点の先で阪神高速の方へ右折する場所があるが,慣れない人にはわかりにくいみたいで何人も間違えて直進しようとしていた。
あそこには係の人を配置するか,大きめの表示が必要な気がした。
妙法寺の先で住宅地を抜けて高取山へと上っていく。
前回は高取山への登りでは言うほど渋滞を感じなかったが,今回は結構人が多かった。
それでもまずまずのペースで進んでいたので,言うほど遅くなかったと思う。
高取山の月見茶屋前でバナナや飲料を売っていたので,1本50円のバナナを買って食べておいた。
なかなかおいしかった。
その後,高取山,丸山の市街地と自分なりに頑張った。
そのおかげか,鵯越駅前を 8:50 頃に通過できた。
鵯越駅からは「菊水山に登れば業務まで休憩できる」と思い,それまでに増して頑張った。
と言っても,それなりの頑張りだったのだが…。
菊水山に着いたのは9:45頃だった。
前回参加した大会に比べると20分以上早い到着だった。
その分疲れてしまったが…。
菊水山では,とりあえずスタッフに到着を告げ,少し休んだのち,トイレに行ってみた。
トイレは縦走路から300mと書いてあって,いつも気になっていた。
実際に行ってみると思ったより遠かった。
あの距離と高低差だと,菊水山でトイレに行くよりは鈴蘭台処理場のトイレにいく方が絶対に効率がいいと思った。
トイレからの帰りに菊水山のすぐ北東のピークに寄ってみた。
こちらも縦走の時には気になっても寄れない。
そこからの神戸市内の眺めは結構よかった。
その後は出発時刻まで菊水山チェックポイントのテントの中で休憩しておいた。
菊水山の出発は 11:25 だった。
出発の5分前に準備をして,ほぼ時刻通りに出発した。
そこから天王吊橋までは 25 分で下らないといけなかった。
人がいなければ余裕の時間だが,多くの参加者がいる状況だとちょうどぐらいの時間だった。
しかし,天王吊橋手前の溜池付近で膝が痛いという方がおられたので,持っていたテーピングテープで膝のサポートをしてあげた。
素人の技術なので,もし痛みがある程度あるようなら後続のスイーパーチームの医療係の方にお願いしてみてください,と言ってその場を後にした。
その時点で5分程度遅れたが,鍋蓋山の上りは時間の余裕があるので焦らずに歩いた。
しかし,しばらく登っていくと渋滞してしまった。
小さめの茶色の鉄塔と大きめの白っぽい鉄塔の間の急な岩場付近が渋滞ポイントだった。
最終的になんとかほぼ予定通りの時刻に大きめの白っぽい鉄塔そばに到着することができたが,その時初めて鍋蓋山への上りの時間が長めにしてある理由がわかった。
その先鍋蓋山の山頂までは時間的にかなり余裕があったので,少しゆっくりめに歩いてみた。
それでも鍋蓋山山頂には5分ほど早く着いてしまった。
この5分を後のしんどい区間に移動させて欲しいなぁ…。
鍋蓋山山頂では膝裏が痛い,という参加者がおられた。
男性4人組の中のひとりで,ここでもテーピングでサポートした(実際にはお仲間のお一人が作業されたが…)。
そんなことをしていると時間になったので出発した。
その先,大龍寺の山門には2分ほど早かったがほぼ時間通りに着いた。
そこで売っている豚汁を食べたいと思ったが,業務中だったので諦めた。
後で知ったのだが,鍋蓋山からこの大龍寺の山門の間で,私の30分前に出た徒歩班の方を抜いていたみたい。
その方は怪我をされた参加者の方に同行してかなりゆっくりと大龍寺山門まで下ったために,1時間遅れ(私より30分遅れ)になったらしい。
私は,そんなこととはつゆ知らず,マイペースで先に進んだ。
大龍寺から市ヶ原までは時間的に余裕がありすぎる感じだった。
スタッフがいるのは市ヶ原の櫻茶屋から少し登った先の折れ曲がり地点(新市ヶ原堰堤東)なのだが,そこへの到着は5分早かった。
定点スタッフの方に「早すぎましたね〜」と言われてしまった。
そこでも5分ほど時間調整をしてから,先に進んだ。
ここの5分も後の区間に移して欲しいなぁ,と思った。
その先はトゥエンティクロスへの分岐から布引ハーブ園への分岐(世継山分岐)までぐいっと登る。
この区間はあまり焦らず,ほぼ参加者の皆さんのペースで歩いてちょうどぐらいだった。
しかし,その先がしんどかった。
ハーブ園への分岐から学校林道分岐までの時間設定が20分だった。
つまり,少し下ってから稲妻坂を登るのに20分ということだった。
これは結構しんどかった。
鍋蓋山山頂手前や新市ヶ原堰堤東までの区間のどっちかの5分をこっちに回して欲しいなぁ,と感じた。
学校林道分岐からは順調だったが,少し先の天狗道の上りのキツイ区間ではやはり渋滞していた。
ここは歩行時間は少し余裕があったので,少し早く到着できたが,何かあるとすごく時間がかかるので,時間配分としてはいい感じだと思った。
天狗道の最後の区間は参加者のみなさんと同じペースで歩いたが,まずまずのペースで進むことができた。
その結果,ほぼ時間通りに摩耶山掬星台のチェックポイントに到着できた。
そこで,業務用品(携帯電話)を返却して,業務終了となった。
その時点で「本日は終了〜♪」というのも頭をよぎったが,せっかくだからもう少し歩こうと思ってしまった。
そこで,ホットレモンを頂いて,摩耶山保護のための募金をしてから先を目指した。
この時点で「できれば宝塚まで」と思ったが,調子がでなければ六甲ケーブルで下りるか,有馬温泉に下りようと,とも思っていた。
掬星台からは,少しの登りを2〜3回繰り返した後,アゴニー坂を一気に下る。
私は下りが得意なので,その辺りは快調だった。
しかし,神戸市立自然の家の先から始まる三国池下への登りに入るとしんどかった。
あまりにしんどくて途中で二度ほど立ち止まってしまった。
そこで,上りでしんどい箇所はあまり上り坂の先を見ずに足元近くだけを見るように心がけ,気づいたら上りが終わっていた作戦を駆使した。
そうやって,なんとか我慢して我慢して一歩一歩進んでいると,少しずつだが前へと進むことができた。
やっとのことで三国池下まで登った時には「これで宝塚まで行けるかも」と思えてきた。
しかし,ダラダラ歩くと何時になるかわからなかったので,その先もストックをフル活用して,ある意味必死になって先を急いだ。
別にそこまで必死ならなくてもいいような気もしたが,諦めが悪いだけなのかもしれない。
丁字ヶ辻を過ぎた辺りにある藤原商店で何か食べ物を,という誘惑を振りほどいて歩き続けた。
六甲山郵便局の甘酒の誘惑も振り切って歩いた。
六甲ガーデンテラスでもトイレ休憩もせずに通過した。
ガーデンテラスの先で極楽茶屋跡まで行くと車道に出る。
その先,車道と右になり左になるような感じで登山道がつけてあるが,車道沿いの方がアップダウンが少ないので楽に歩ける。
今回はすでにかなりしんどかったので,迷わず車道沿いを歩いて一軒茶屋を目指した。
途中,前の集団を抜くために右の端と左の端を行ったり来たりもした。
やがて一軒茶屋前を通るが,一軒茶屋のすぐ先の道を挟んだ反対側に一軒茶屋チェックポイントがあった。
ここもチェックポイントはパスして次を目指した。
一軒茶屋の先は鉢巻山トンネルを抜けて少し行くと,東六甲縦走路への分岐がある。
その辺りで5名ほどの集団の後ろについた。
そしてそのまま東六甲縦走路に入ったが,この集団がなかなか速かった。
暗い中でヘッドライトを付けての歩行になったが,結構いいペースで歩いていったので,どちらかというと一生懸命ついていく感じだった。
ただ,下りが不得意な方が引っ張っておられたみたいで,急な下りになるとガクンとペースが落ちたが…。
逆に,船坂峠をすぎて下りが減ると集団のペースは少し上がった。
ペースが良すぎて,ヘッドライトで見える場所を見続けているとボーッとしてきて,少しクラっとするぐらいだった。
でも,そのおかげで順調に大平山にたどりついた。
大平山では舗装林道を5〜6分ほど歩く。
そこは道幅があるので,できるだけ前に行こうと思って一生懸命歩いた。
足はかなり疲れていたが,なんとか早く,と思いあるき続けた。
そして,再び山道に入ったところで追いついたグループについていく感じで塩尾寺まで歩いた。
大平山の先は,大谷乗越(棚越新道)手前の急な下りと塩尾寺直前の下りで渋滞したが,それ以外は黙々と進むことができた。
また,塩尾寺からの車道の下りは,大股歩きで下ってみた。
大股にすると体を止めるために太ももの上の筋肉で体を止めないといけないが,思ったよりも太ももは元気だったので,なんとか最後の方までペースをキープできた。
そして,最終的に,東六甲縦走路分岐から塩尾寺まで2時間ちょっと,東六甲縦走路分岐からゴールまででも2時間半ほどで下ることができた。
人が多く,渋滞もしていた割にはいいペースで歩けたと思う。
そうして,なんやかやで 5:32 スタートから 14 時間 25 分で宝塚の宝来橋南詰に着くことができた。
その中には菊水山での業務開始時刻までの休憩や掬星台での休憩時間なども入っている。
それらを引くと,ほぼ 12 時間半ほどで歩いたことになる。
いやぁ,今回も頑張った。
最初にいちびって飛ばしたのも効いたかもしれないが,それにしてもしんどかった。
掬星台を出てからは,ずっと「もうあかん」と思っていたが,それでも最後までいけたのは諦めの悪さかなぁ?
良く言うなら,もうあかんかも,と思ってからどれだけ頑張れるか,が六甲全山縦走には大切ということですね。
いずれにせよ,決められたペースや,他の人のペースで歩くのはなかなかに疲れる,と思い知らされた六甲全山縦走だった。
これで,個人的には 2014 年から数えて10回目の六甲全山縦走となった。
今年は 11/23 の六甲全山縦走大会にエントリーしているので,10日後に11回目を歩く予定である。
そうすると六甲全山縦走だけで合計 495 km (GPS計測) を歩くことになる。
我ながら結構すごいなぁ…。